飲食店が質の高い接客・サービスを実現するためには、効率的かつ均一な人材教育を行わなければいけません。
こんにちは。
武野 慎一郎です。
今回は、飲食店の人材教育を効率化するeラーニングについてご紹介します。
eラーニングで飲食店が得られるメリット、導入にあたっての課題を知り、人材教育の効率化に向けてeラーニング導入を検討してみてください。
eラーニングとは?
eラーニング(e-Learning)とは、デジタル化した学習環境のことです。
飲食店における従来の人材教育というのは、新人スタッフに対して店長やマネージャー、あるいは先輩スタッフが接客やレジ打ちのやり方などを直接教育します。
一方でeラーニングは教育動画などを活用し、その試聴によって教育するという方法を指します。
また、デジタル化された学習環境を提供するサービスをeラーニングシステムと呼びます。
これからの飲食店の人材教育は、eラーニングを活用した効率的な教育が欠かせないと考えています。
さまざまな業界でデジタル化が進む中で飲食業界は遅れをとっており、eラーニングも有効なデジタル化施策の1つだからです。
飲食店がeラーニングを導入するメリット
では、飲食店がeラーニングを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
私は次のような6つのメリットが得られると考えています。
1. 教育の時間や場所を問わない
これまでの人材教育は新人スタッフが出勤し、基礎教育とOJT(現場教育)を組み合わせるのが基本でした。
しかし、これは人材教育の時間も場所も制限されるやり方なので、効率的とは言えません。
即戦力ではない新人スタッフを投入しなければいけないリスクと、店長やマネージャー、ベテランスタッフの手が止まるデメリットがあるのです。
eラーニングを導入すればこのリスクとデメリットはある程度解消されます。
新人スタッフは教育動画などを視聴し、接客やレジ打ちのやり方などに関する知識を身につけた上で投入できるため、少なくとも基礎教育にかかる時間は削減できるでしょう。
また、新人スタッフがeラーニングを使って真面目に学習していれば、OJTにかかる負担も少なくなります。
2. 教育の質が均一化される
高いレベルでの接客品質を提供するためには「品質のムラ」を少なくする必要があります。
スタッフごとに接客品質が異なると戸惑ってしまうお客さまが多く、「接客の悪い店」とレッテルを貼られてしまう可能性があるのです。
そこで大切なのが人材教育の質を均一化することですが、店長やマネージャー、先輩スタッフが教育を行う場合は、教育そのものにムラが発生してしまいます。
また、先輩スタッフの教育が不十分で現場に出た新人スタッフが店長やマネージャーに叱責されるという光景をよく見かけますが、これは新人スタッフのモチベーションを下げる大きな原因となります。
接客品質を向上するため、新人スタッフのモチベーションを維持するためにもeラーニングを活用した教育の質の均一化が効果的でしょう。
3. 学習の進捗状況を確認できる
eラーニングシステムの多くは、新人スタッフの学習状況を管理画面から確認できるようになっています。
そのため視聴していない教育動画があれば試聴を促し、新人スタッフの教育を効率よく進めることが可能です。
また、eラーニングシステムによっては教育動画の知識が身に付いているかどうかをチェックするためのテストを実施できるものがあります。
学習の進捗状況だけでなく定着度も確認できるため、質の高い人材教育を効率よく実施できるのがeラーニングシステムです。
4. 技術的な教育にも使える
eラーニングシステムが使えるのは接客が中心のホールスタッフだけではありません。
厨房スタッフに対する技術的な人材教育にも活用できます。
調味料を加えるタイミングや火加減など、なかなか教えづらい細かい部分まで教育動画にすれば、繰り返し視聴しながら学習可能です。
営業中は忙しく厨房スタッフのOJTは難しいことが多いので、eラーニングを活用した人材教育をおすすめします。
5.店長クラスの業務効率化になる
店長クラスのスタッフは店舗業務の他に人材教育を兼任しているケースが多く、負担が大きくなりがちです。
「それも店長業務のうち」と考えることもできますが、店長クラスにはやはり接客等に集中してもらう方が、飲食店全体のサービス品質向上につながります。
eラーニングを活用して人材教育にかかる負担を軽減すれば、店長クラスのスタッフの業務効率化を実現できます。
6. 無料ツールを使って導入できる
eラーニングシステムを導入するとなるとコストがかかりますが、複数のデジタルツールを組み合わせればeラーニングのような教育環境を無料で導入することができます。
例えばGoogleの無料アカウントを取得すれば15GBの保存容量が無料で利用でき、教育動画を保存・管理できます。
Googleスライドを利用すれば教育用のスライド資料を作成でき、Googleフォームを利用すればテストも実施可能です。
特定の教育動画を揃えれば十分な飲食店の場合はGoogleなどの無料ツールを活用し、eラーニングのような教育環境を整えてみてはいかがでしょうか。
eラーニング導入の課題
eラーニングを導入することで飲食店はさまざまなメリットが得られますが、導入にあたっての課題が2つあります。
2つの課題を理解し、eラーニング導入検討時の参考にしてみてください。
動画撮影に手間がかかる
eラーニングで使用する学習コンテンツは教育動画が基本となります。
テキストやスライド資料で作る学習コンテンツよりも教育動画は情報伝達力が高く、制作にかかる時間も少なく済みます。
ただし、その教育動画は飲食店が自ら制作しなければいけません。
動画制作会社に依頼する方法もありますが、5分程度の教育動画を制作するのに数万円のコストがかかる可能性があります。
そもそも、eラーニングに必要な教育動画とはクリエイティブ性の高いものではなく、教育内容を的確に伝えられる動画です。
そのため動画制作会社に依頼するよりも飲食店が自ら制作した方がコストも手間も少なく、かつ充実した教育動画を制作できます。
動画制作に慣れると短時間で制作できるようになりますが、慣れるまでは多少苦労することを念頭に入れておきましょう。
モチベーション維持が欠かせない
eラーニングを活用した人材教育で大切なのは学習者のモチベーションを維持することです。
モチベーション維持に何が必要かといえば、それは「学習の対価」です。
eラーニングを活用した人材教育は時間や場所を問わないため、新人スタッフが出勤せずに学習を進められます。
そのため学習中に時給を発生させることが難しく、これが学習者のモチベーション低下につながる可能性があります。
そこで対策すべきは「学習の対価」を用意することです。
具体的には次のような対策が考えられます。
- スタッフルームでeラーニング学習を進めてもらい、時給を発生させる
- eラーニング学習を修了したら学習支給を与える
こうした対策で「学習の対価」を用意することで、学習者のモチベーション維持に取り組みましょう。
飲食店こそeラーニングの導入を
いかがでしょうか?今回は飲食店の人材教育に有効なeラーニングについてご紹介しました。
eラーニングを使った教育環境は店舗数が多いほど有効です。
また、異なるブランドで運営している飲食店でも接客の基本は同じなので、教育動画を1つ製作すればブランドをまたいで利用できるメリットがあります。
個人的に飲食店のeラーニングは無料ツールを使ったもので十分だと思うので、高額なeラーニングシステムを無理に導入する必要はないでしょう。
まずはGoogleの無料ツールを活用し、eラーニングのような教育環境を整えてみてください。