皆さんは日頃、集客やマーケティグのためにどのような情報整理を行なっていますか?たった1つのフレームワークを使うだけで、適切な施策を考えられるようになります。
こんにちは。
武野 慎一郎です。
今回は5P分析についてご紹介します。5P分析を実施すれば、集客やマーケティングに必要な情報を整理し、正しい施策を考案できます。比較的簡単に実施できるフレームワークなので、ぜひ参考にしてみてください。
5P分析とは?
5P分析とは5つのキーワードを軸に情報を整理するためのフレームワークです。まずは、その基礎となる4P分析からご紹介します。
4P分析(マーケティンングミックス)との違い
4P分析はエドモンド・ジェローム・マッカーシーというマーケティング学者が、1960年に考案したフレームワークです。歴史は長いですが汎用性が高いため、今でも多くのビジネスシーンで利用されています。
4P分析では、次の4つのキーワードを軸に情報を整理します。
- Product(商品やサービス)
- Price(価格や料金)
- Place(流通やエリア)
- Promotion(販促や営業)
キーワードごとの情報を整理すると、飲食店にとって最適な集客・マーケティングの施策や、DX実現に向けた戦略などが見えてきます。
4P分析がマーケティングミックスと呼ばれている理由は、これらの情報を組み合わせ、具体的な戦略を考えるためのフレームワークだからです。
「5つ目のP」が意味すること
そして、5P分析ではベースとなる4P分析に「5つ目のP」を加えます。ただし、その「5つ目のP」は一種類ではありません。必要に応じて異なるキーワードを組み合わせていきます。
<「5つ目のP」の種類>
- Process(業務やプロセス)
- People(顧客やスタッフ)
- Package(包装やデザイン)
- Profile(顧客情報)
- Popularity(人気や口コミ)
このような「5つ目のP」を加えることで、5P分析が完成します。
4P分析は60年以上前に考案されたフレームワークであり、今でも広く使われています。
しかし、時代の変化によって必要なキーワードが増加・変化したため、現在では「5つ目のP」を加えて5P分析を実施するのが一般的となっています。
さらに新しい分析項目も
5つ目のPにおける、新しい分析項目もご紹介していきます。
- Personalized(パーソナライズされたサービスや情報)
- Profit(顧客や飲食店にとっての利益)
5P分析を実施するにあたって、最後に加える「5つ目のP」はどのようなものでも問題ありません。大切なのは、集客・マーケティングやDX戦略を考える上で重要なキーワードかどうかです。さらに言えば、Pである必要もありません。
ただし今回は、飲食店DXにおける5P分析についてご紹介しているので、「5つ目のP」には「業務(Process)」を設定します。
5P分析を使用するタイミング
5P分析は実用的なフレームワークですが、使用するタイミングが肝心です。以下は一般的なマーケティングプロセスであり、その中で5P分析は5番目に使用するのが適切なタイミングとされています。
- 市場調査・分析(SWOT分析)
- 市場の細分化(STP分析)
- ターゲット選定(STP分析)
- ポジション確認(ポジショニングマップ)
- 戦略立案(5P分析)
- 施策の実行と効果検証
※私は3と4の間に「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」を加えています
5P分析はいわば、マーケティングプロセスの最終調整です。1~4までのプロセスをまだ実行していない方は、各フレームワークの動画やブログ記事を参考に実施してみてください。
飲食店DXの実現に向けた5P分析をやってみましょう
それでは、飲食店DXを目的とした5P分析のやり方をご紹介します。
1. Product(商品やサービス)
飲食店におけるProductとは、お客さまにご提供する料理、接客、お土産商品などです。まずは現状としてどのようなProductをお客さまにご提供しているのかを整理しましょう。
また、各情報を細分化し、細かく考えることが大切です。例えば料理を情報としてまとめる際は、次のような細分化を行います。
- 料理のジャンル
- 提供スタイル
- コンセプト
- 味や香り
- ヘルシー志向か
- バリエーション
私のお店の場合、料理の情報はこのように整理しています。
同じように接客やお土産商品などの情報を整理しましょう。
2. Price(価格や料金)
飲食店におけるPriceとは、料理の価格(アラカルト・セット)、平均の客単価、原価率、粗利益などです。5P分析を実施するにあたって、料理の価格は情報として整理しても、原価率や粗利までは考えないケースが多々あります。
また、料理によって粗利益のバランスを調整している飲食店もあるでしょう。そうした場合は料理ごとの粗利益も整理し、どのようにバランスを取っているか明確にしてください。
多くのお客さまは料理そのもの以上に、価格に注目しています。どこまで納得感のある価格を設定できるかどうかが、お客さま満足度を高めるポイントです。
さらに、飲食店DXを推進するためには、お客さまに提供したい理想の価格を決め、デジタル施策でどのようにして付加価値を生み出せるか考える必要があります。そうした理由からPriceも多角的に情報を整理しておきましょう。
3. Place(流通やエリア)
飲食店におけるPlaceとは、主に「店舗の立地」を指します。店舗の立地が観光地にあるのか、あるいは駅前になるのかなどにより、考えるべき集客・マーケティングやDX戦略は変わってきます。
例えば、観光地にある飲食店はテナント料が高額なため、収益性の高い経営スタイルを考案しなければいけません。収益性を上げるには原価率を下げるか、料理価格を上げるか、どちらかの施策が必要です。
<原価率を下げるDX戦略例>
ペーパー型のBeacon(Bluetoothと連動する技術)を用いて、お客さまがテーブルにスマホを置くとメニューが自動的に開き、スマホから料理を注文できるシステムを導入。それによりオペレーションコストを削減し、原価率を下げる。
<料理価格を上げるDX戦略例>
使用する原材料に大幅な変更は加えずに、お客さまがアンケートに答えることで最適な創作料理を提案するAIシステムを導入。カスタマイズ性の高い料理で付加価値を増大し、納得感のある高価格料理を提供する
4. Promotion(販促や営業)
飲食店におけるPromotionとは、チラシ、雑誌広告、SNSやGoogleマップなどを活用した集客施策です。Promotionは店舗の立地によって理想的な集客施策が変化するため、Placeとセットで考える必要があります。
例えば観光地にある飲食店はSNSやGoogleマップなどを駆使しながら、日本全国または海外のお客さまにアプローチしなければいけません。
これに加えて、初回ご来店からリピーター化するための施策、口コミ情報を増やすための戦略などの情報もまとめていきましょう。
5. Process(業務)
飲食店におけるProcessとは、飲食店経営に必要なあらゆる業務を指します。Processでは役職・役割ごとに分けてアクティビティリストや、業務フロー図を作成してください。
可能であれば、アクティビティリストと業務フロー図は両方作成しましょう。
アクティビティリストでは業務ごとに必要な作業をリスト化するため、作業ごとの課題・改善点を発見できます。一方、業務フロー図はProcess全体の流れや、業務ごとのつながりを見える化できます。
Processを整理すると、飲食店DXを実現するために必要なデジタル化について具体的に考えられるようになります。
「5つ目のP」の組み合わせて分析内容が変わる
5つのキーワードを軸に情報を整理すれば、5P分析は9割完了したも同然です。
最後に、5P分析でまとめた情報を俯瞰しながら飲食店DXに必要な戦略や、集客・マーケティングの成果を上げる施策等を考えていきます。フレームワークの質を上げるために、「現状と展望」の2軸を加えて情報を整理してみましょう。
ご記入ください
また、5P分析は「5つ目のP」の組み合わせを変えることで分析内容が大きく変わる点に注目し、さまざまな組み合わせで分析してみてください。
5P分析は複数のフレームワークを組み合わせましょう
今回は飲食店DXを推進するための5P分析についてご紹介しました。マーケティングプロセスでご紹介したように、5P分析は複数のフレームワークを組み合わせるのが基本です。このブログでは各フレームワークについてもご紹介しているので、合わせて参考にしてみてください。