皆さんは、「マインドマップ」を作成したことはありますか?
こんにちは。
武野 慎一郎です。
飲食店経営に限った話ではありませんが、マインドマップを作ることで思考整理やビジョン共有など、さまざまなメリットを得られます。
そこで今回は、飲食店がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するにあたって、欠かすことのできないマインドマップの作り方をご紹介します。
マインドマップとは「思考の見える化」である
マインドマップはイギリスの教育コンサルタントである、トニー・プザンという人物が発案した思考の整理法、及びアイディアの発案法です。
実際にご覧いただくと分かるように、中央にある「飲食店のDX」というメインテーマから、さまざまな要素へと枝分かれしています。
中央から最初に枝分かれしている要素を「メインブランチ」、それ以降に枝分かれしている要素を「サブブランチ」と呼びます。
このようなマインドマップは思考整理や、新しいアイディアの発案に大いに役立ちます。
飲食店のDX実現においては、これから何をすべきかが明確になり、DXビジョンをスタッフと共有できるため、マインドマップの作成を強くおすすめします。
マインドマップでDXビジョンを見える化するメリット
マインドマップを作成してDXビジョンを見える化するメリットは3つあります。
1つ目は「思考整理が楽になること」です。
DXビジョンを頭の中で描いているだけでは、思考をうまく整理できず、やるべきことを明確にするのも難しいでしょう。
また、頭の中に渦巻いている思考を吐き出すことはストレスの軽減にもなります。
2つ目は「DXビジョンを共有できること」です。
経営者の頭の中にあるDXビジョンを、言葉だけで共有・説明するのには限界があります。
マインドマップを使い、図として共有・説明すればスタッフもDXビジョンに対して理解を示してくれるかもしれません。
3つ目は「優先順位を把握できること」です。
飲食店のDX実現は、優先順位を考えた取り組みが大切です。
マインドマップなら番号を振ったり、メインブランチやサブブランチの大きさ・色を変えて優先順位を直感的に理解できるような図を作成できます。
ツリー構造による成功の整理法では、「同じ階層の要素は同じ優先順位」と視覚的に判断しがちなので、マインドマップによる思考整理がおすすめです。
マインドマップの作り方
それでは実際にマインドマップを作成していきましょう。
大きめの紙を1枚用意してください(A3以上を推奨)。
1. メインテーマを書く
まずは、マインドマップの中心となるメインテーマを中央に書きます。
メインテーマを決める際は「細かすぎないこと」を意識してください。
今回は「飲食店のDX」としましたが、これが「飲食店のDXを実現するツール」といったように細かすぎてしまうと、ブランチが広がらずに部分的な思考整理に限られてしまいます。
そのため、メインテーマは1語または2語で書くようにしましょう。
余裕があれば、メインテーマを表すイラストを書いてみてください。
これを「セントラルイメージ」と呼びます。
下手でも問題ありません。
マインドマップの目的の1つは「想像力を広げること」なので、セントラルイメージを描くことで想像力が広がりやすくなる効果があります。
いわば「脳の準備運動」なので、肩の力を抜いて自由にセントラルイメージを描いてみましょう。
2. メインブランチを描く
続いて、メインテーマから連想されるメインブランチを描いていきます。
メインテーマから放射線状にいくつか線を伸ばしてみてください。
この時、直線ではなく曲線にするのがポイントです。
スペースを有効活用できる上に、直線よりもマインドマップ全体を俯瞰しやすくできます。
描いたメインブランチはアンダーラインとして利用し、メインテーマから連想される要素を書き込んでいきます。
今回は次のようにメインブランチを描きました。
「飲食店のDX」のメインブランチ
∟目的
∟目標
∟フレームワーク
∟デジタルツール
メインブランチはいくつあっても問題ありませんが、4つから6つ程度になるのが一般的です。
メインテーマと同様に、細かすぎる要素を作らないよう注意してください。
3. サブブランチを書く
メインブランチを描いたら、そこからさらに枝分かれするサブブランチを作成します。
直線ではなく曲線で書くこと、アンダーラインとして利用することはメインブランチと同様です。
例えば、メインブランチである「デジタルツール」のサブブランチは次のようになります。
「デジタルツール」
∟Typeform
∟登録
∟使い方
∟価格
∟活用方法
∟Mailchimp
∟登録
∟使い方
∟価格
∟活用方法
∟Google
∟Workspace
∟Gmail
∟ドキュメント
∟…
サブブランチでは想像力をフルに働かせて、考えられる要素をすべて作成してみましょう。
いくつ枝分かれしても問題ありませんし、「サブブランチのサブブランチ」を作成しても問題ありません。
4. 全体を俯瞰してみる
サブブランチの作成まで完了したら、マインドマップ全体を俯瞰してみましょう。
完成したマインドマップを俯瞰して見ると、見直すべきところや足りない要素などが判明します。
また、マインドマップ全体で頻出する要素があったり、さまざまな発見ができるでしょう。
完成度の高いマインドマップ作りでは見直しが非常に重要なので、納得いくまで何度でも見直しながら修正してください。
5. 色を入れたりする
完成したマインドマップに色を入れたり、線を書き込んだりしてビジュアルを完成させていきましょう。
マインドマップのビジュアル調整にルールはないので、自分が分かりやすい形で色分けなどを行なってみてください。
マインドマップが上手に作れる3つのポイント
続いて、マインドマップを上手に作るためのポイントをご紹介します。
3つのポイントを守るだけで、マインドマップ作りが簡単になるので参考にしてみてください。
横長のフォーマットを使う
マインドマップを作る際は、基本的に横長のフォーマットを使いましょう。
文字を横書きする場合、マインドマップを横に広げていくことでスペースを有効活用できます。
フォーマットを縦長にするとスペースを活用できない上に、全体を俯瞰しにくくなります。
マインドマップを作るにあたって、紙を用意するにせよツールを使用するにせよ、横長のフォーマットの使用をおすすめします。
シンプルな言葉を使う
メインテーマやメインブランチ、サブブランチではそれぞれシンプルな言葉で要素を作りましょう。
前述のように要素は1語または2語で作成するのが基本です。
個人的には、1語よりも2語で作成することをおすすめします。
理由は「DXビジョンを他のスタッフと共有するため」です。
要素を1語だけで作成すると、他人がマインドマップを見た際に、何を意味しているのかが分かりにくくなります。
要素を具体的に表し、共有しやすくするためにも「2語のシンプルな言葉」を基本に要素を作ってみてください。
専用ツールを使ってみる
マインドマップを作る目的は飲食店のDXビジョンを作成し、やるべきことの整理とスタッフとの共有を行うためです。
したがってビジュアルにこだわり過ぎるのではなく、明確なDXビジョンを早く作り、継続的に修正していくことの方が重要になります。
これを考慮すると紙を使ってマインドマップを描くよりも、専用ツールを使った方が効率的なケースが少なくありません。
代表的なマインドマップツール
- Xmind
- mind meister
- miro
- Lucidchart
作ったマインドマップはどう活用する?
マインドマップは作った後が肝心です。
どう活用するかで飲食店のDX実現が左右されるので、次の3つのポイントでマインドマップを活用していきましょう。
スタッフルームに貼っておく
作成したマインドマップは、印刷等してスタッフルームに貼っておきましょう。
スタッフの目に自然と留まる位置に貼っておくことで、DXビジョンを周知することができます。
また、単に貼るだけではなくDXビジョンについて積極的に説明しましょう。
スタッフの中には、DX推進によって業務等がデジタル化されることに抵抗を示す場合があります。
飲食店のDXは「お客さまもスタッフも置き去りにしないこと」が大切です。
スタッフルームにマインドマップを張り出すだけでは、DXビジョンに対する理解を得られない可能性があるので注意してください。
DXビジョンの見直しを行う
マインドマップを使って視覚化したDXビジョンは、定期的に見直す必要があります。
DXを推進する中でしか気づけないことも多いので、その都度マインドマップを更新し、実態に即したDXビジョンを持ち続けるためです。
DXビジョンを定期的に見直すことを考慮すると、やはり専用ツールで作成する方が効率的です。
無料で使える専用ツールも多いので、いくつかのツールを使ってみて使いやすいものでマインドマップを作成してみてください。
定期的な思考整理のために使う
DXビジョンを視覚化するために作成したマインドマップは、定期的に俯瞰して思考整理のために使いましょう。
飲食店のDXは計画通りにことが運ぶわけではありません。
想定していなかったことが起きたり、新たに必要だと感じることが発生したりもします。
このように常に変化する状況の中で、初心にかえるため、思考を整理するために定期的にマインドマップを俯瞰してみてください。
マインドマップでDXビジョンを見える化してみましょう
難しく考えなければ、マインドマップは誰でも簡単に使える思考の整理法、アイディアの発案法です。
紙ではなく専用ツールを使えばより簡単に作成でき、かつ定期的に見直せるので、飲食店がDXビジョンを明確化する場合は専用ツールを使ったマインドマップ作りをおすすめします。
また、明確なDXビジョンを持っていない経営者でも、マインドマップを作り始めるとアイディアがどんどん浮かんでくることが多々あります。
考えるよりもまずは指を動かし、マインドマップづくりに取り組んでみてください。