あなたは飲食店の経営者として、「なぜウチの店は目標達成できないんだ…」「スタッフが指示待ちで、自分で考えて動いてくれない…」そんな悩みを抱えていませんか?私たち武野屋は、岡山県倉敷市で蕎麦居酒屋を営んでおりますが、多店舗展開を目指す中で、社長一人の目では限界を感じ、成長が頭打ちになっていると感じることもありました。実は、その課題を解決し、スタッフが自ら考え行動し、結果を出すチームを作るための鍵が「週次ミーティングの質」にあります。
かつて私たち武野屋も、トップダウンの運営と、問題発生後の対症療法的なミーティングに限界を感じていました。しかし、「自分の分身を育てる」という強い想いから、ミーティングのあり方を根本から見直し、「ゴール達成逆算メソッド」を導入しました。当初はスタッフからの反発もありましたが、今では売上昨対110%以上を達成し、全員が同じ方向を向いて成長できる組織へと変化しました。今回は、武野屋が実践する「ゴール達成逆算メソッド」の核心と、それがもたらす具体的な効果についてお伝えします。
従来のミーティングが抱える限界と、私たちの挑戦
多くの飲食店では、週次ミーティングが単なる「報告会」に終始してしまったり、問題が起きてから場当たり的な対策を話し合ったりするケースが見受けられます。私たち武野屋も例外ではありませんでした。社長や店長の指示で店舗は回っていましたが、それはあくまでトップの力量に依存した状態でした。
例えば、ある新メニューの品質が店舗によって微妙に異なり、お客様からの評価が安定しない。しかし、その原因を特定し、全店で共有・改善するまでに時間がかかってしまう。多店舗展開を進める中で、全ての店舗に目が行き届かず、時には「なぜこんな簡単なことができないんだ!」と感情的な指導になってしまうこともありました。このままでは会社の成長は望めないと痛感したのです。
そこで私たちは、「社長がいなくても高いパフォーマンスを発揮できる店長を育成する」「従業員一人ひとりが自ら考え、行動できる組織を作る」という大きな目標を掲げました。そのために不可欠だったのが、結果を出せる店長のやり方を言語化し、誰でも再現可能な形にすることでした。
例えば、本店の副店長が実践している「きき酒三種を平日は1日3個、土日は5個販売する」とか「ランチのおすすめメニューは客単価を意識して寿司5貫セットをおすすめする」といった具体的な目標設定と行動を、他の店舗でも共有し実践できるようにすることを徹底しました。日々の運営と目標達成を管理し、改善し続けるための「仕組み」こそが、武野屋式「ゴール達成逆算メソッド」が生まれる出発点となったのです。
武野屋式「ゴール達成逆算メソッド」とは?~3つの柱で結果を出す~
武野屋式「ゴール達成逆算メソッド」の核心は、その名の通り「ゴールから逆算して今やるべきことを明確にする」ことにあります。そして、それを支えるのが「日々の凡事徹底」と「徹底した見える化」という3つの柱です。
まず、本店から少し離れた郊外店舗となる中庄店であれば月次売上目標1200万円に対し、今週は274万円を達成するという具体的な数値目標(ゴール)を設定します。次に、そのゴールを達成するために、「肉つけそば」を週67食以上、特に日曜日は21食販売し、客単価を2535円に引き上げる。そのために「セット商品」や「デザート」といった追加の一品をおすすめし、客単価UPを狙うといった具体的なアクションプランに落とし込みます。
この「やるべきこと」を日々の業務の中で「凡事徹底」の精神で実行し、その進捗や成果、例えばメール会員が今週目標通り15名増えて総数3029名になったことなどを、全員が「見える化」された状態で共有するのです。
このメソッドを週次ミーティングで回すことで、単なる進捗確認ではなく、常にゴールを意識し、そこへの最短距離を考え、具体的なアクションに繋げる建設的な場となります。例えば、本店の週次売上目標155万円に対し、金曜夜に11名、日曜夜に35名の団体予約が入っていることを全員で共有し、そこからさらに上乗せするために「おつまみとお酒の販売強化」という具体的な戦術を練るのです。
当初は「忙しいのにそんな時間を割けるのか」という従業員の声もありましたが、今では「3ヶ月先行管理で売上を考えるようになり、自分が何をすべきか明確になった」「ロスタイムが減った」という前向きな声が多数聞かれるようになりました。結果として、売上は昨対110%以上を達成し、店舗の雰囲気も大きく改善されたのです。
「ゴール達成逆算メソッド」がもたらす3つの具体的メリット
このミーティングメソッドを導入することで、武野屋では具体的に3つの大きなメリットを実感しています。第一に、「目標達成への意識と行動の具体化」です。例えば、別邸では父の日クーポンとして「お父様のドリンク1杯無料(メニュー内どれでもOK)」という具体的な施策を立案し、5月21日に公開、6月1日にインスタ告知というスケジュールまで明確にしています。これは、過去の母の日クーポンの反省点を活かし、より効果的なアプローチをチームで考えた結果です。
第二に、「チーム全体のベクトル統一と情報共有の質の向上」です。各店舗の週次報告シートは、売上・客数・単価といった主要KPIだけでなく、原価率の推移(帆立の価格が高止まりしている、生クリームが6月から値上がりするなど)やクレーム対応状況(中庄店ではレジ対応クレームに対し具体的な指導を実施)まで詳細に記録・共有されます。ミーティングの議事録と共に全店長が確認することで、課題解決と目標達成のための前向きな議論が生まれています。
そして第三に、これが最も重要かもしれませんが、「スタッフの自律的な成長の促進」です。中庄店では、「仕事の棚卸し」を通じて、従来店長しかできなかった発注業務やリーダー業務を他のスタッフに権限移譲していく計画が進んでいます。
トップダウンではなく、自ら目標達成のための道筋を考え、発言し、行動する機会が増えることで、指示待ちだったスタッフも主体的に店舗運営に関わるようになりました。これは、まさに私たちが目指していた「自分の分身を育てる」という人材育成に直結しています。このメソッドは、単なる会議手法ではなく、強い組織を作るための土壌そのものなのです。
まとめ:週次ミーティング改革で、自走する強い飲食店組織を作る
ここまで、武野屋が実践する「ゴール達成逆算メソッド」と、それがもたらした効果についてお伝えしてきました。最後に要点を3つにまとめました。
- 従来のトップダウン型ミーティングには限界があり、従業員の自律的な成長や多店舗展開の壁になり得る。
- 「ゴール達成逆算メソッド」は、「ゴールからの逆算」「日々の凡事徹底」「徹底した見える化」を柱に、結果にコミットするミーティング手法である。
- このメソッド導入により、売上向上だけでなく、スタッフの主体性向上、チームの一体感醸成、そして何より「結果を出せる人材の育成」が期待できる。