あなたは飲食店経営者として、新規のお客様を獲得することばかりに気を取られ、一度来店したお客様を再び店に呼び込む仕組みづくりに悩んでいませんか?広告費をかけても思うような集客ができない、SNSを更新しても来店数が増えないなど、費用と時間だけが消費される状況に直面しているかもしれません。今回は、年間10万人の来店客を実現した店舗の具体的なリピーター獲得戦略をご紹介します。
飲食店経営において、新規客獲得よりもリピーター育成に注力すべき理由があります。一度来店したお客様が再び足を運んでくれる確率は、新規のお客様を獲得するよりも圧倒的に高く、費用対効果も格段に優れているのです。実はリピーター獲得には明確な戦略と実践方法があります。顧客情報を活用し、適切なアプローチを行うことで、無理なく安定した集客を実現できるのです。以下では、実店舗で実践して成果をあげた3つの戦略を詳しく解説していきます。
お客様との関係構築:コミュニケーションの強化
リピーター獲得の第一歩は、初回来店時からのお客様との関係構築です。私達の店舗である武野屋では店内にジーンズや古い足踏みミシン、こだわりの器などを配置し、これらが会話のきっかけとなるよう工夫しています。何気ない会話の中から、お客様の好みや関心事、来店目的などを自然と引き出せるようになります。このような対話を通じて、お客様一人ひとりとの関係性を深めていくのです。
お客様は単に美味しい料理を求めているだけではなく、居心地の良い空間や特別な体験、そして人とのつながりを求めています。スタッフには「本日のおすすめ」をお客様が来店されたら必ず説明するよう指導しています。これは単なるメニュー紹介ではなく、スタッフがお客様と料理をつなぐ重要な役割を果たします。
なぜこの料理をおすすめするのか、どのような食材を使っているのか、お店のこだわりは何かなど、料理にまつわるストーリーを伝えることで、お客様との共感ポイントが生まれます。このような会話は、お客様に「この店ならではの体験」を提供し、他店との差別化につながります。
また、お酒を提供する際も工夫が必要です。ただドリンクメニューを渡すのではなく、お料理に合わせたペアリングを積極的に提案します。それにより満足度も上がります。そのためにはスタッフ全員がその日のメニューに合わせたドリンクを提案できるよう、日々テイスティングと勉強会を重ねることが大切です。
お客様の好みを記憶し、次回来店時には「前回〇〇を気に入られていましたが、今日は似た味わいでこちらがおすすめです」といった提案ができれば、お客様の満足度は格段に上がります。特に効果的なのが記念日への対応です。予約時に「何か特別な日でいらっしゃいますか?」と尋ねることで、誕生日や結婚記念日などの情報を事前に把握し、当日のサプライズ演出が可能になります。
こうした対応を継続的に行うために欠かせないのが「顧客管理システム」です。独自の顧客データベースを構築し、来店頻度や注文履歴、好みの料理やドリンク、記念日情報、アレルギーの有無など、お客様に関する情報を細かく記録しています。これによって、次回来店時にはより一層パーソナライズされたサービスが提供できるようになります。
システムは複雑である必要はなく、エクセルやGoogleスプレッドシートでも十分です。重要なのは、スタッフ全員が情報を共有し、活用できる仕組みを作ることです。顧客情報の管理は、単なるデータ収集ではなく、お客様一人ひとりとの関係構築のためのツールと考えましょう。
効果的な情報発信:DMの活用
新規集客のために多額の広告費を支払うよりも、既存客に向けた情報発信の方が遥かに効果的です。お客様リストを活用して定期的にDM(ダイレクトメール)を送ることで、効率的にリピート来店を促すことができます。これは郵便でもメールでもどちらでも良いと思います。DMには新メニューの案内や季節のイベント情報、お店の雰囲気が伝わる写真などを盛り込みます。
具体的な成功事例をお伝えします。当店では閑散期に「オリジナルの蕎麦屋のこだわりつゆをメール会員様限定でプレゼント」というキャンペーンを実施しました。約2,800人のメール会員様に向けて配信したところ、メールの開封率は40%以上を記録。結果として2週間のキャンペーン期間中に約210人のお客様が来店してくださいました。
この取り組みで約50万円の売上を達成できました。閑散期のキャンペーンだったため、費用対効果は抜群でした。特にメニュー変更や季節のフェアなど、再来店の理由となる情報を優先的に掲載することが重要です。DMの送付頻度も重要なポイントです。あまりに頻繁に送ると「しつこい」印象を与え、逆効果になります。
特に効果的なのが、お客様の声を活かしたDMです。アンケートやご要望を元に「お客様からこんなリクエストをいただきました」「このお声にお応えして、新メニューが登場しました」といった形で情報発信すると、自分の意見が反映されたという喜びから再来店につながります。
実際にお客様から「DMを見て、自分のリクエストしたメニューが実現したことを知り、すぐに予約しました」といったフィードバックをいただいたこともあります。このような個別対応がロイヤルティ向上につながり、長期的な顧客関係の構築に役立っているのです。
また、「リピーターだけが知る秘密のメニュー」や特別割引の案内を盛り込むことで、お客様に「特別感」を感じていただけます。例えば「このDMをご持参いただくと、季節の一品をサービス」といった特典は、来店の直接的なきっかけになります。これは費用対効果の高い集客方法です。
近年はデジタル化が進み、紙のDMだけでなく、メールマガジンやLINE公式アカウント、SNSを活用した情報発信も効果的です。特にLINEは開封率が高く、即時性があるため、「今日のディナータイムに空席がございます」「週末限定メニューのご案内」などのタイムリーな情報発信に適しています。
重要なのは、お客様のライフスタイルやコミュニケーション手段の好みに合わせて、最適なチャネルを選択することです。私達の店舗ではお客様の情報取得ツールとしてtypeformというアンケートツールを活用し、Canvaで魅力的な案内を作成するといった方法も効果的です。初心者でも使いやすいのがメリットです。
実際に私達は、この方法で1ヶ月に1,000人もの顧客リストを獲得することができました。このリストにリピート来店のための案内を送るという、シンプルながらも効果的な仕組みを構築することで、安定した集客を実現しています。顧客データの管理には、エクセルでも十分対応可能です。
重要なのは、一度来店したお客様の情報をストックし、お客様がリピートしたくなるキャンペーンを定期的に配信すること。新規集客に多額の広告費をかけ続けるよりも、すでに接点のあるお客様との関係を深めることに注力する方が、はるかに費用対効果が高いのです。この点は飲食店経営で最も見落とされがちなポイントです。
ターゲットを絞ったアプローチ:チラシとドアコール戦略
一般的に飲食店のチラシは効果が低いと言われていますが、ターゲットを絞ったアプローチなら十分な効果が得られます。店舗周辺の住宅や企業を直接訪問し、手渡しでチラシをお届けする「ドアコール」は、地域密着型の店舗にとって効果的な戦略です。このチラシには、最新のAIツールも活用しながら、店舗の魅力が一目で伝わるビジュアルと印象的なキャッチコピーを心がけています。
特に、ただのセールス情報ではなく、「地域の皆様に愛されて○周年」「シェフ自ら選んだ旬の食材」など、店舗の個性やストーリーを伝えるコンテンツが効果的です。チラシのデザインも重要な要素です。統一されたブランドカラーやロゴを使用し、一目で自店のチラシだと認識できるよう工夫しましょう。また、写真は専門家に依頼するなど、質の高いビジュアルにこだわることで、店舗のイメージアップにつながります。
チラシの裏面には地図や駐車場情報、予約方法など、来店の障壁を取り除く情報を掲載することも忘れないようにしましょう。また、近隣企業へのランチ営業や宴会、会食での利用提案も積極的に行っています。法人でのご利用は安定した収益につながるだけでなく、そこから個人でのリピーターも増えていくという好循環を生み出します。
企業向けのプランは「忘年会・新年会パック」「歓迎会・送別会セット」など、シーズンやニーズに合わせた提案が効果的です。また、企業の担当者と関係構築ができれば、定期的な利用につながる可能性が高まります。平日の夜営業など、客足が落ちやすい時間帯をターゲットにしたプロモーションも効果的です。
これらの取り組みを始めた当初は、平日の夜営業でお客様がゼロという日もありました。広告費を上げれば来店数が増える、SNSの更新頻度を増やせばお客様は来店してくれる、そう信じて必死に取り組んでいましたが、実際はお金と時間だけが消えていくようでした。転機となったのは、自分たちの強みを活かした独自の集客システムの構築です。
顧客を「一見さん」で終わらせず、継続的な関係を構築することこそが、安定した経営の鍵だと気づいたのです。リピーター獲得の秘訣は「本当の意味でのおもてなし」にあります。お客様をただの「お金を落としてくれる人」ではなく、一人ひとりの人生の大切な時間を店で過ごしてくださる「ゲスト」として敬意を持って接すること。
そういった姿勢が、自然とリピーターの獲得につながっていくのだと実感しています。スタッフ全員がこの価値観を共有し、日々のサービスに反映させることが、最も重要な戦略と言えるでしょう。また、定期的なスタッフミーティングを開催し、お客様の声やリピート率などのデータを共有することで、サービスの改善につなげていくことも大切です。
まとめ:持続可能なリピーター獲得の仕組み作り
ここまで飲食店におけるリピーター獲得の戦略と実践法についてお伝えしてきました。最後に要点を5つにまとめました。
- 初回来店時からの「コミュニケーションの強化」がリピーター獲得の基本である。
- 顧客管理システムで来店履歴や好みを記録し、パーソナライズされたサービスを提供することで、お客様の満足度と再来店率が向上する。
- 既存顧客へのダイレクトメールは費用対効果が高い。メニュー情報やリピーター限定特典を案内し、紙媒体だけでなくメールやLINEなど多様なチャネルで情報発信する。
- ターゲットを絞ったチラシ配布と法人営業で安定した集客を実現できる。
- 「本当の意味でのおもてなし」がリピーター獲得の基本である。お客様を「ゲスト」として敬意を持って接し、スタッフ全員でこの価値観を共有することが長期的な関係構築の鍵となる。